2013年5月6日月曜日

2030年の学びデザインプロジェクト(完了報告)

電通と博報堂が「2030年の学び」のあり方についてアイデアを募集している
との情報が玉名市の平野さんからもたらされたのが3月末。
それを受け、ガリラボ通信上でメンバーを募集(2013/3/31)。
メンバーが揃い、ネット上でのブレスト開始(2013/4/3)。
かなりの分量の議論がネット上で行われ、時間が無くなったので、
オフ会を開催して話を収束させることに(2013/4/7)。
ガリラボでワイワイ話した結果、オフ会はカレーを食べながらやろうと
いうことになり(2013/4/8)、
土曜日、メンバーが集合し「華麗にワークショップ」を開催(2013/4/13)。
締め切りが4月30日ということですから、ワークショップで出たアイデアを、
ちょうど私と目の合った3人にカタチにするよう指示。^^;
3人、悪戦苦闘してアイデアをまとめるという慣れない作業に向き合ってくれました。
ギリギリの4月30日に出来上がり(出来がらせ?)、無事、
第2回MIRAI DESIGN AWARD 「2030年の学びをデザインせよ」
にアイデアを投稿しました。

以下、ガリラボで結成した2030年の学びデザインプロジェクトのメンバーから出た
意見を3人が別々のアイデアとして取りまとめたものを紹介します。
ただ分量が多く最後までたどり着かない人もいるかもしれませんので、先に「あとがき」風な
ことを書いておきたいと思います。
 
下にある投稿したアイデアを読むとわかりますが、具体的な内容には到達していない大変
荒削りなものです。
3人には厳しいですが、最後の詰めが非常に甘い内容だと言えるでしょう。
だけど、この3人には特に言っていたとは思いますが、まとめたアイデアというよりも、
こうした議論をしていくということ自体が、そしてその議論に至ったプロセスをメンバーが
共有していったことが非常に重要でした。
学年の異なる学部生、大学院生、そして社会人が集い、ものすごく異なる世代が集まり、
同じことで議論している。
最初はネット上で、そして途中でオフ会を企画して、新しいアイデアをまとめていく。
実は今回のこの1ヶ月の試み自体こそが、イノベーターを生み出す学びだったのでは
ないでしょうか。
4月3日出発、4月30日到着という知的議論の旅を異なる背景を持つ集団で行って
きたわけです。
これは今回のアイデアの中で提示している「西遊記モデル」そのものだったと思います。
参加メンバーの皆さんは、このプロジェクトでの活動を振り返り、こうしたプロジェクトが
可能になった条件などをしっかりと理解し、今後に活かしていくと良いでしょう。
 
2030年の学びデザインプロジェクトの旅への出発を促した平野さんに感謝します。
そして1ヶ月の旅に同行したメンバーの皆さんご苦労様でした。
この楽しい旅の途中で、ワイワイとみんなで議論してきたアイデアは以下の通り3パターンに
3人の学生がまとめました。
内容や詰めの甘い点は、3人のこれからの可能性(伸び代)を示しているのだと寛容な
目にてお読みくださいい。

【アイデア1】MIRAI創造堂 M1(12)大塚
1)2030 年、日本をイノベーターの活躍であふれる国にするために、あなたは何が課題だと考えますか。
 イノベーターは、「本能」と「理性」の両方を兼ね備えた者だと考える。子どもは本能的に物事を考え行動するが、経験を重ね大人になるにつれ、それらは理性的なものへとシフトしていく。そのため、多くの人々が常識に囚われてしまい、新しいものを創造できない状態へ自然と向かっていくだろう。しかし、イノベーターは、本能と理性を持ちあわせているため、常識を超えた創造を積極的にしていこうとするだろう。そうであるならば、大人は子どもと接触することで、本来持っていた本能を取り戻し、イノベーターとなり得るのではないかと考える。また、それは、子どもを「イノベーターの卵」にさせる可能性もあるのではないだろうか。2030年がイノベーターの活躍であふれる国にするためには、このような仕組みをづくりが必要であると考える。
2)その課題を解決する、「学び」のアイデアをおしえてください。
 一つの地域に一つの「MIRAI創造堂」を開設。そこは、学校や職場でもなく家庭でもない、性別、年齢、職種などに関係なく人々が緩やかに繋がり、活動する開かれた空間である。現代の日本は、子どもは学校から帰ると塾へ向かい、大人は職場と家の往来だけになっている。そのため、家族や異なる世代と接触する機会が少ない。2030年は情報通信技術の発展により、塾や職場といった場所に縛られず学習や仕事などができるだろう。それらのスタイルが多様化することで、現代よりも異なる世代と接触する機会を増やすことが可能になると考えられる。そこで、「学び」「遊び」「交流」「仕事」これら4つを異なる世代が共有できる空間「MIRAI創造堂」を提供する。この取り組みは、その空間のデザインや設備は不完全な状態で提供され、異なる世代が協働してその場所を創造してくことから始まる。そのため、活動を通して地域の文化の継承やコミュニティの再構築をするだけでなく、(1)で述べたように、その場を介して大人は子どもから「本能」を、子どもは大人から「理性」を学ぶことができる。MIRAI創造堂は、地域単位でイノベーターを生み出し新しいものを創造する。
3)あなたの考えたアイデアは、どのように実現したらいいでしょう。
 まずは、「MIRAI創造堂」のプログラムなどをある程度パッケージ化する。次に、協賛してくれる企業および協力してくれる地域を募集し、テスト的に実施してみる。通常は地域が利用する空間であるが、企業が地域とイノベーションする場として活用するなど柔軟性がある空間にする。そこで創造されたアイデアや商品の利益の一部は、地域に還元されるようにする予定である。

【アイデア2】西遊記モデル 4年(10)吉村
1)2030 年、日本をイノベーターの活躍であふれる国にするために、あなたは何が課題だと考えますか。
 イノベーターとは、現状に満足せず、常に新しいものを求め挑戦していく。また、そういった行為自体に“わくわく感”を持てることがイノベーターの要素でもある。所謂イノベーターという存在が、少ないのは“失敗”を認めない社会の現状があるからと言っていい。「失敗は成功の元」という諺があるように“失敗”を経験することで、人は何かしらの学びを受け成長していく。しかし、日本では学歴などの競争社会で成長していく中で“失敗”を恐れて新しいことにチャレンジしないようになってしまう。つまり、今の日本において失敗を恐れず挑戦していく人材が必要だと言えるだろう。また、イノベーターに欠かせない要素として賛同者となる“友人”の存在がある。現代の代表的イノベーターとして挙げられるような人々(ザッカーバーグやジョブズなど)も、ひとりではイノベーションを起こすことは出来なかった。すなわち“友人”を作る能力も必要になるといえる。
2)その課題を解決する、「学び」のアイデアをおしえてください。
 私たちは成長の過程で幼少期を必ず経ている。幼いころ「失敗」を咎められただろうか。もちろん生死に関わるような重大な事は別であるが、大抵の場合、挑戦と失敗の反復はセットであり、これらは周囲の環境から容認され、失敗によって学び、次の挑戦が促進されている。挑戦とは、現状の打破と言い換える事もできる。子供の時分のまま失敗を恐れず、あらゆることに疑問を抱き、常に挑戦することを忘れない人材を育てるためには“学ぶ”ことが楽しいと自然と感じる必要があるだろう。そこで、物語「西遊記」をモデル化したワークショップを提案する。「西遊記モデル」の特徴は以下の二つである。
①多様性
 孫悟空、猪八戒、沙悟浄、三蔵法師のように人種、国籍、性別、世代を超えた様々な人と行動する中でそれぞれの能力や知識などを生かし、多様な活動や経験ができる。また、多様な人々がいる場合、すべてが異質の存在となるため(同質の中から異質を排除しようとする)いじめのようなことは起きづらい。そして、半強制的に行動を共にすることで、半自発的に“友人”を作る(興味関心が近い、年齢が近いなど)ようになり、多様な人々と“友人”になる能力が身につくようになる。
②自由に学ぶ
 中国(スタート)から天竺(ゴール)までの決まりはあるが、その過程での規則や決まりはなく、三蔵一行は“自由に”行動し、様々な出来事に出会う。その中で、失敗、挑戦、成功を繰り返し、様々なことを学びながら成長していく。また、机の上でただ勉強して学ぶのではなく、様々な活動を通して知らないうちに学びを体験していき、常に楽しさをもって学んでいくことができる。
3)あなたの考えたアイデアは、どのように実現したらいいでしょう。
 西遊記と同様に中国(スタート)と天竺(ゴール)を設定し、ゴールへの着き方(交通手段など)や着くまでの間の行動を自分たちで考えてもらう。例えば、熊本から博多を設定し、その間の交通手段(自転車、鉄道など)、何をするかも自分たちで考え、自由に行動してもらう。そして、ゴールに着いたら自分たちの行動を発表してもらいリフレクションをする。また、これを集団登下校に当てはめることもできる。家から学校まで、という決まりはあるがその間は自由に行動していい(公園に寄り道するもよし、林の茂みに入り昆虫採集をするもよし)。多様な学年構成により、上級生が下級生に様々なことを教え、逆に下級生の考え方や行動は上級生に刺激を与える。このように、西遊記をモデルとして、制限された自由な枠組みが設定されれば、その中で多様な人々と出会い、多くのイノベーションの種子が埋め込まれ、失敗を恐れることなく様々な挑戦が繰り返されるだろう。

【アイデア3】ひょっこりひょうたん島モデル 4年(10)漆島
1)2030 年、日本をイノベーターの活躍であふれる国にするために、あなたは何が課題だと考えますか。
 ここではイノベーターを、人々が考えもしなかった斬新な事をする人、道を切り開く人だとする。すると、この場合イノベーターに必要なものは、社会が作り上げたルールを破り新しいルールをつくること、ルールを破るために要する多量の労力を実行することであると考えられる。現在の日本社会にはルール(法律、社会常識など)が存在する。我々はこのルールがどのようにして、なぜ設けられたのかなど、意識しないうちにこのルールに従い行動している。ルールは社会が変化するに伴いどんどん変化していかなければならないと考える。しかし、自分の周りにあるルールについて意識し、考えないことには社会のルールを破ることは出来ないのではないだろうか。社会のルールを破り、新しいルールを作るものをイノベーターとするならば、日本をイノベーターの活躍で溢れる国にするための課題は、各個人が自分を取り巻くルールについて意識し、考えていないことだと考える。
2)その課題を解決する、「学び」のアイデアをおしえてください。
  日本をイノベーターの活躍で溢れる国にするための課題が、各個人が自分を取り巻くルールについて意識し、考えていないことだとすると、これを解決するために、社会が作り上げたルールを私たちが意識する場を作ればいいのではないかと考えた。
まず、年齢、性別関係なく人を集める。その集まった人を、無人島に連れていき、1週間なら1週間その人たちだけで生活してもらう。このとき、無人島で手に入らない、水など最低限の食料、物資は最初に支給しておく。このような場で、この中の人々がとる行動として、支給された食料、物資を管理する人、物資を使ってなにか作る人等、役割分担をし、またその状況に応じたルールを作り上げていくこと等が考えられる。無人島で一定期間生活したら、普通の生活に戻ってもらうのだが、その前にこのグループに無人島での生活(役割分担、作ったルール等)についてリフレクションを行なってもらう。
  このように無人島生活をしてもらいリフレクションを行うことで、自分たちがどのようにして、なぜこのルールを作ったのかを考えてもらうことができ、社会で作り上げられているルールも同じように人が作り上げてきたものだと認識できるのではないか。また、このように認識することによって、自分を取り巻いているルールを意識し、考え、ルールが社会に適応していないと感じたら、自分たちでもルールを破り新しいルールを作ることができるのだと各個人が考えるようになるのではないかと思う。社会のルールを認識し、破り、新しいルールを作ろうと行動に移していく人が多くなることで、日本はイノベーターで溢れる国になるだろう。
3)あなたの考えたアイデアは、どのように実現したらいいでしょう。
 まず、このアイデアを実現するために、スタッフを募り団体をつくる。団体の状況、プログラムの実施状況は、逐一HPなどで発信していく。プログラムを実施するためには資金が必要だが、人の参加を促すために、最初は実験として参加無料で実施する。そのため、最初の資金は、HPなどに広告を載せるなどして、企業との協賛を取り、資金を集める。ある程度の成果を得ることができたら、参加者から参加料を貰いプログラムを実施、運営していく。また、このプログラムの広がりを見て、新しい形のプログラムを組む。新しいプログラムを実施するときは、デモンストレーションとして参加無料とし、実施後プログラムの形を改良していく。このように、実施、振り返り、改良を繰り返し、プログラムを運営していく。



さて、以上で「2030年の学び」の旅は終着駅(天竺)に到着し、ガリラボの今回の西遊記は終わりました。
次の旅は何にしましょうか。
楽しみですね。


 

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