2012年9月17日月曜日

経験学習からの学び

(書き終わって今ここを書いています。書き始めたときとは違って、終わってみれば今日の
ガリラボ通信はガリラボではなく私自身の今日学習したことの振り返りになっています。
推敲することもなく2500字ほどを書き続けたので誤字脱字多数、内容も硬くなってしまいました。反省。)


米国の教育思想家デューイ(1859-1952)は、
  真実の教育はすべて経験から生まれる。
と主張しました。そして、当時の学校を、

  学校はこれまで生活の日常的な条件や動機付けからはなはだしく
  切り離され、孤立させられているので、子どもたちが訓練を受ける
  ために通わせられている当の場所が、経験-その名に値するあら
  ゆる訓練の母である経験を、この世の中で獲得するのがもっとも
  困難な場所になってしまっているのである。

と批判しました。今もそのまま成り立つ批判ではないかと思います。
こういう批判もあるので、ガリラボでは、
  輝く知性は行動なしには生まれない
をスローガンに「経験」を重視した活動を促しています。

ただし、行動だけではやっぱり駄目なのです。
経験を通して学習していくことは上のデューイを経て、その後、コルプ
という人物によって体系化されていきます。
コルプによれば経験学習とは
  1)「具体的経験」をした後、
  2)その内容を「内省し(振り返り)」
  3)そこから経験を抽象し「概念化」し、教訓を引き出しておく、
  4)その教訓を「新しい状況に適用する」
といったサイクルを回していくことで人は経験から学んでいくのだといいます。
逆に言えば、こうしたサイクルを回していなければいくら経験しても経験
から学ぶことはないというです。
(出典)
 

具体的経験を得るために行動が大変重要なこと、最初の一歩が大変
重要なことは言うまでもありませんが、コルプによればそれ以上に
その経験をじっくりと振り返り、概念化=言葉にしていくことが重要だと
いいます。
ある営業関係の会社で、数十人のトップ営業マンにインタビューしたとこ
ろ、全員自分の営業活動をしっかりと振り返っていたのだそうです。
逆に売れない営業マンは、「売れた、売れない」といった結果だけに
とらわれて、振り返りがなく、単に喜んだり、落ち込んだりしていただけ
だったそうです。
スポーツ選手については小久保選手がほぼ日手帳を使って、経験
学習をしていたことを2012/8/15のガリラボ通信で書いたばかりでした。

ガリラボでは経験の場を多くが地域社会におかせてもらっています。
そこで多くのガリラボの学生たちが具体的な経験をしている。
それについては申し分ないレベルにあると思いますが、成長に向けて
省察(振り返り)と概念化の部分が少し不足しているかなと感じている
ところです。
もっともそれが全くないわけではありません。
4年生は夏休み中も登校日を作り、かなりフォーマルな形での報告会を
していますので、そこで内省と概念化がある程度はうまくいっていると
思っています。
しかし、具体的な経験が突出しているせいで、その後のステージが見劣り
してしまうのです。

以上の課題は、私自身のガリラボ運営という経験に対する振り返り
でもあります。
社会人となって成功していけるよう、言語化していく部分をさらに鍛
えていかないといけない。
そう感じています。
経験学習のサイクルを回す能力というのは、汎用(ジェネリック)スキルの
ひとつであり、特定の専門知識を知ることよりはるかに重要なことです。

ところで、専門知識を実社会の中で使い、経験学習がうまく回るような
仕組みとして現在大学で実施している学生GP制度は私や前教務入試課
課長の林田さんとかとで一緒に考案したものです。
内省から次のステップに移っていくサイクルを10ヶ月という短い時間の中で
回していくために毎月報告を行っていくことを計画していましたが、そのあた
りは色々な障壁があって実現できていません。
が、実社会での自分の専門知識を使うという経験、そして他の分野の人と
一緒に報告の場を一緒にすることで刺激を受けること(これは味の素ナショナル
オリンピックセンターの設計思想を拝借しました。ここでは、異種競技のアス
リートが自然に情報交換する場づくりが行われています)などは実現できている
ので、ひとまずは上手くいっているかなとは思っています。
学生GP制度の上で、実際に地域連携型卒業研究に取り組んでいるゼミ生た
ちはどう感じているでしょう。
9月19日はゼミ内の報告会、その翌日の9月20日が学生GPの報告会と
なります。
それぞれで内省からの概念化と教訓抽出が上手くいっていることを期待したい
ところです。
 
社会人の経験学習ということを今日は朝から勉強していて、それを読みながら、
これって地域連携型卒業研究と同じだなと思いつつ、色々と調べていたら、
文部科学省の「大学改革実行プラン」というのが検索に引っ掛かりました。
「激しく変化する社会における大学の機能の再構築」に向けてのプランということ
ですが、方向性の3番目に、
地域再生の核となる大学づくり(COC (Center of Community)構想の推進
というのがあります。その構想の概要が次の図です。

今日初めてこの構想を見ましたが、かなりびっくりしました。
COCという言葉自体は前に聞いていましたが、その名称からてっきり社会人教育、
生涯教育ということだと想像していたのです。
まったく違う構想のようです。
ぱっと見てわかりますが、これって、ほぼそのまま学生GP制度です。
だから、今日経験学習を勉強していく中で、検索に引っかかったのでしょうが。
25年度から実施に移していくとありますが、本学は学生GP制度を母胎にすれば
すぐさま応募できそうにも感じます。
文科省のこの構想を見て、学生GP制度は時代の要請になっていることを確認し、
また社会もそうした要求が増加しているのでしょう。
実際、そのことは最近よく感じます。
先日、熊本空港ビルディングの方とお話しました。
来年度、ガリラボと熊本空港ビルディングと連携して活動する可能性を探るためです。
その話の中で、地域社会の側がほぼCOC的なイメージを大学に持たれていること
を強く感じました。

さて、熊本空港ビルディングとの話がまとまれば、これは10ゼミ生の一部が地域連携
型卒業研究として活動していくことになるでしょう。
なお、10月からはく県北地域で3年生のプロジェクトを進行させていきますが、これは
来年度に向けた訓練も兼ねて行うつもりです。
そのことを念頭において活動してほしいと思っています。

私自身は、経験学習のサイクルをうまく回しながら本人の成長と地域の課題解決という
一石二鳥を狙うサービスラーニングとして活動内容をデザインしていくつもりです。
うまくデザインできるといいですけど。笑
うまくできなくても大目に見てください。一緒に頑張りましょう!
 



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