2012年9月5日水曜日

善きことは、カタツムリの速度で動く

先日2012/9/2のガリラボ通信にコラムとして鬼丸昌也さんの著書の
ことを書きました。
本日は、そのご本人、鬼丸昌也氏による講演が大学の中ホールであり
ました。
現在私が関わっている大学内の業務改善・情報システム見直しプロジェ
クトの主催でSD・FD研修として開催されたものです。
事務局職員さん全員に聞いてもらおうとの趣旨で、午前と午後と2回講演
していただきました。
私の目視という超アナログセンサーで見積もった限り、教員も多くの方に
参加していただいていましたが、事務局職員さんについてはほとんどの
皆さんに参加して頂いたように思います。

講演のタイトルは
こうして僕は世界を変えるために一歩を踏み出した
~私たちは微力だが、無力ではない。すべての変化はひとりから始まる~
というものでした。

冒頭、私から鬼丸さんを簡単に紹介させていただいた後、90分の
予定で鬼丸さんから講演をしていただきました。


地雷の問題、小型武器の問題と子どもの兵の問題を主軸に極めて
刺激的で、洞察に満ちたお話でした。
熊本県庁での数ある講演の中で最も評価が高いということでしたが、
お話を聞いて納得しました。
地雷であるとか、子ども兵とか、どう考えても身近でない話題ですが、
この話題が人間行動の根源的な部分を照射していることから、自分
の問題に置き換えられ、その結果、遠い話題でなくなってしまうのです。
時々、クイズを交え、その解答を考えていると、その勢いで全て話に吸
い込まれていったように思います。
多くは先日のガリラボ通信で書いた書籍紹介とダブることも多くて(ご
本人も最初にそのようにおっしゃっていましたが)、だけどもどれも新
鮮なものに感じました。
前に紹介していなかった内容で、今回の話で私の耳に残った主なことを
少しだけ書き留めておきます。

ひとつは人は組織の行動基準に従って動いているのだということ。
子ども兵は大人以上に残虐な行為をすると言われるが、要するに
それは、組織の行動基準に従っているだけなのだ、と。
行動基準に従うことで、その組織では誉められるから、そうしているのだ
という話には、はっとさせられました。
私自身もきっと組織の行動基準というものに縛られて動いているのに
違いありません。
大学教員だと、さらに学会というものが持つ行動基準が、行動原理の
基本になっている可能性もあります。
人は、組織あるいはコミュニティに必ず属し生活する社会的動物な
わけですけれど、そこでの基準は他の組織やコミュニティから見て非常
に奇妙であっても、それに従った行動をしていくわけです。
結果は違えども、私も、子ども兵と同じ行動原理にしたがって生きている。
そのことに改めて気付かされました。
何を評価し、そして誉めるか。
当たり前のことですが、人間行動のかなり深層に影響するものなのだ
と認識しました。

そしてもうひとつの気づきは問題というもの対する見方。

鬼丸さんがどうして講演に力を入れているか。
その理由は、「問題は可視化され、認識された瞬間に50%は解決したも
同然」という事実によるからだとおっしゃっていました。
問題として認知されさえすれば解決できるのだといいます。病気について、
病名が確定できると治療のやりようがあるというのと同じですね。
だから、問題を認識してもらうことに、一番の体力を使わないといけないの
だ、と。
だから、問題であると思ったならば、繰り返し繰り返し、何度でも、諦めずに
伝える」ことが大切になるわけです。
私自身、呪文のように同じことを繰り返しゼミ生に話すことがありますが、
ひょっとすると無意識にこのことを実践しているのかもしれません。


リーダーは先頭に立つのではない、という話も強く印象に残りました。
一番後ろを歩くのだと。
だって、それだったら全員が見えるじゃないですか。見えれば、色々な
支援が可能ですよね、と。そういった視点でリーダー像を捉えられていて、
常々私がイメージしていたリーダー像と全く同じでした。
(同じだったから、印象に残ったわけですけど)


これら以外にもたくさん深い気付きがありました。
地雷はなくてもあると思わせるだけで効果を発揮するのであるとか、
子どもを非人間的残虐行為を行う殺人マシン化していく方法の話など、
衝撃なものが多かったですが、どれも人間の根源に関わるものばかりで、
だからこそ話に魅了されたのだろうと思います。
教職員に交じって、ガリラボのゼミ生たちも聴講していました。
気付いた限りでは、4年(09)村中、谷、中島、本多、草原、松崎、
3年(10)田中、石原、吉村だったかと思います。
みな、真剣な目でした。



終了後、ゼミ生に聞いたところ全員声を揃えて非常に興味深かったと
話しておりました。
地雷の話というよりも、自分たちのこれからの人生の話であったと
思うと、そういったことを話しておりました。
私も実際にそう思いました。


もっともこうした話を聞いても、すぐに忘れてしまうのも人の特徴。
それは仕方のないこと。
関連して、鬼丸さんは最後にガンジーの次の言葉を紹介されました。
記憶に残った少しだけでもいいから、それを実践していくことが
必要だということでしょう。
(出典)
 
以上です。
これだけではとても鬼丸さんの話の1/10も伝えることが出来ておりません。
さらにまたこうした文章だけでなく、直接、鬼丸さんの講演をライブで聞いた方が
良いかと思います。
これは、私だけでなく、話を聞いたゼミ生全員一致した見解です。
 
 

善きことは、カタツムリの速度で動く。 ガンジー
気を長く持ち、日々の具体的な小さな善い実践を着実に、継続していきたいと
思いました。
とりあえず、「善きこと」かどうかは別にして、ガリラボ通信を日々更新していこう
と思います。^^;
 

 
 

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